nekonyantaro's diary

自分語りなど、よしなごと

総選挙を振り返って

「争点無き選挙」といわれた今回の総選挙、結果は事前の予想通り自民党議席数維持、自公連立の安定継続と言う展開になりました。

予告期間の短い抜き打ち解散だったということで、野党側の準備が整わず現政権側に有利だったということも指摘されていますが、与党圧勝の理由はそれだけでしょうか。

筆者はそれほど熱心に自発的に政界の情報を集めている訳ではないので、得ている情報はマスメディアやネットを通じて容易に入手可能な物に限られています。そのため情報が自分の所に届く時点で一定のフィルターがかかっており、真実を見誤っている可能性は否定できません。

そのような事情を考慮して、現状およびそれに至る経緯を解釈するのに、得られた情報をそのまま受け入れるのではなく、複数の情報を総合的に解釈し自分なりに合理的と思われる説明を組み立てる努力をしています。そのような作業を通じて、この選挙の投票前から感じていたことが、表題の通り、民主党が政権を担った2009年7月から2012年12月までの約3年の間の政権党失格と言われる不出来の結果として、国民が民主党政権を望んでいないということです。

民主党政権の失敗の原因としては、3.11東日本大震災時の対応のまずさ(特に原発事故時の菅直人首相の対応の混乱)が真っ先に取り沙汰されます。しかし私の解釈は「3.11は民主党の政権党としての未熟さを露呈させ政権の終焉に繋がったが、それに至る道はその前から出来上がっていた」というものです。

それでは何がいけなかったのか、について私の解釈ですが、政権獲得時のマニフェストで「脱官僚」を掲げ、官僚と全面対立してしまったことです。民主党には官僚と敵対的な関係のまま、自力ですべての政策を遂行する能力は有りません。そのような状況では「官邸主導」は(理想的な方法ではないが)「官僚と良好な関係を維持しながら、重要な政策で政治が決定したことをその通り実行させる」という形でしか実現し得ません。「脱官僚」ではなく「脱官僚支配」を進めなくてはいけなかったと感じています。たとえば天下り問題は時間を掛けて穏健に改善していくことも可能だったのに、「判りやすさ」だけのためにそれを全面に押し出してしまい、結果として官僚は民主党の打ち出す政策を失敗させ、政権から追い落とすという選択をしたと考えています。このことが3.11の危機の際に様々な対応でもたつき、国民の民主党離れを加速させたと感じています。

そして政権を自公に奪い返されてからの2年間、民主党は国民の信頼感を回復させる材料をほとんど提供できないまま来てしまいました。抜き打ち解散で準備期間がなかったというのは、普段からの支持獲得の努力の欠如以外の何物でも無いと思います。選挙が迫っていなくても、政権の活動を監視して、その問題点を国民に知らせ代案を提示することで、与党への支持を少しずつでも削り取って自党への支持に替えていくのが野党第一党としての努めだったはずです。たとえ仮に解散まで半年有ったとしても、今の民主党にそれが出来たようには思えません。政権獲得していた3年間の失敗をきちんと総括して代案を提示できない限り、民主党に政権を任せたらこの国は大変なことになる、と感じる有権者が大部分でしょう。筆者は民主党には「失われた3年」に対する責任の自覚と反省がなさ過ぎると感じます。

安倍政権の政策に不満を持つ国民は少なからずいても、それを結果に結びつけることが出来たのは(政権党となる可能性が事実上ゼロの)共産党だけだったという事実は、国民が「政権を任せられる党は現与党しかない」という判断をした、ということの現れに他ならないと感じます。